少年が上にいたのだ

振り返ると階段の上にあの少年が立ち笛を吹いていた少しの間美しく響く笛の音に聞き惚れていたがハッと我に返り階段上野少年を見上げる俺を見つめながら拭いているようだが薄暗さで表情は確認できない。
俺は胃を決し階段を登り始めた一段一段しっかりと踏みしめながら登って行く少年の表情が確認できそうな位置まで来た途端少年の姿が掻き消えたしかし冬の音はまだ響いている階段を上りきると少年が矢代の前で笛を吹いている俺は一礼すると鳥居をくぐり社へ向かおうとした。
鳥居をくぐるとした瞬間俺の体はピタッと動かなくなったそして俺の目の前に少年の顔があったオオカミ様と同じ宇宙の深淵を思わせる漆黒の瞳に俺の目を奪われた息がかかりそうなほどの距離で俺は正面と対峙している

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